kinutofu さん(2025年度合格 20代後半女性 業界未経験 受験回数1回)

■ 受験のきっかけ・プロフィール
転職のため、履歴書に書ける資格が欲しいと思ったことが受験のきっかけです。業界・職種ともに貿易や物流とは無関係の、完全未経験での挑戦でした。
土日祝休み・残業少なめ・事務職・独身と、比較的勉強時間が確保できる環境ではありました。
■ この体験記が参考になる(かもしれない)方
正直に言うと、私は合格した今でも通関士の仕事を完全に理解しているとは言えません。このような理解度でも合格はできました。もちろん運の要素もあったと思っています。
「しっかり理解してから合格したい」「中途半端な状態で受かりたくない」という方には参考にならないかもしれませんが、
・とにかく合格ラインに届きたい方
・完璧主義で理解しないと進めず悩んでいる方
・仕事が忙しく、深い理解まで追いつかない方
には、もしかすると参考になる部分があるかもしれません。
私自身、本当は体系的に理解しながら進めたかったのですが、頭脳や性格の面で難しく、途中から「理解よりも合格のための勉強」に切り替えました。
理解を目的にしていたら、途中で勉強が嫌になり、合格できなかったと思っています。
■ 勉強期間・勉強時間
勉強期間:約9か月(1月〜10月)
総勉強時間:360〜400時間程度
平日は仕事後に1〜4時間ほど勉強していました。土日は体力的・性格的に難しく、途中から休養日にすると割り切りました。その方が罪悪感もなく、平日の勉強に集中できたと思います。GWやお盆は半分ほど勉強に充て、9月の直前期は土日も勉強しました。
■ 使用教材
・ヒュー赤(メインテキストとして。2周、章によっては3〜4周)
・みこ会テキスト(通関実務のメインテキスト兼他科目のサブテキスト)
・過去問スピードマスター(2周、章によっては3周)
・過去問(50回申告書、51回〜58回。通関業法は過去5年分のみ)
・計算問題ドリル(税額計算部分のみ。2〜3周)
・みこ会アプリ・過去問解説
・LEC貨物分類講座(講座1周、演習問題2周)
・ゼロからの申告書(ほぼ未使用)
【番外編】ChatGPT(思考整理・暗記補助・メンタル面の支えとして使用)
教材の中では、過去問スピードマスターが基礎力の定着に、過去問+みこ会過去問解説が合格点に届かせるうえで特に役立ったと感じています。LECの貨物分類講座も可能であれば取り組んだ方が、点数の安定と安心感につながると思います。
■ 合格につながったと感じるポイント
学生時代から教科書を読むよりも、演習問題を通して覚えるタイプだったこともあり、今回も同じような勉強方法になってしまいました。テキストももちろん読みましたが、理解度としては50%くらいまでしか到達していなかったように思います。
それでも合格点に届いたのは、過去問を繰り返し解き、「試験で問われる形」に慣れることを優先したからだと思っています。それ以外で合格につながったと感じるポイントを以下に挙げます。
① 過去問はできるだけ「初見」で解く
スピードマスターで基礎を作り、過去問で実力確認、間違えた部分をテキストや解説で復習する、という流れで勉強していました。過去問はできるだけ初見で解きたかったため、みこ会アプリは最初のうちはあまり使わず、過去問を1周し終えてから定着のために使用しました。
初見で解く中で、「この選択肢はおかしい」「この言い回しは怪しい」といった感覚が少しずつ身についたと感じています。練習時も“本番感覚で解く”意識をしていました。
② 外為法を捨てなかった
後回しにされがちな分野ですが、基礎問題が多く、得点源になると感じていました。結果的に外為法では大きな失点をせずに済み、関税法の知識不足を補う形になったと思います。
ただ、外為法に限らず、もし捨て科目を作るのであれば、別の「毎年出題されている基本分野」を完璧に仕上げる必要があると思います。私は輸出入申告のように範囲が広く細かいところまで聞かれがちな分野より、外為法の方が対策しやすいと考え、外為法は捨てませんでした。
③ 要所だけまとめノートを作った
通則、課税価格の決定、法定納期限・納期限、課税物件確定時期・適用法令など、暗記が必要な部分だけノートにまとめて暗記しました。まとめること自体が目的ではなく、「暗記のための道具」として使いました。
■ 最終結果(本番)
通関業法 38/45(84%)
関税法 38/60(63%)
通関実務 34/45(75%)
※模試について
日本関税協会の模試(会場受験)を受けました。全範囲の勉強が終わらないまま臨んだため、結果は通関業法以外6割以下のE判定、400位台でした。
他の方々もおっしゃっている通り、模試の内容はあまり本試験の参考にはならないと感じました。(通関士試験自体、年度によって難易度が一定でないようにも思います。)
ただ私の場合、模試を受けたことで自分の現状を突きつけられ、そこから一気に勉強へのギアが上がりました。本番に近い雰囲気で問題を解く練習ができた点でも、受けてよかったと思っています。
■ 各科目の感想
【通関業法】
結果的に最も点が取れていましたが、一番勉強できていなかった科目のため、確信を持って答えられた問題が少なく、終わった後は一番不安でした。良くないと分かりつつ、貴重な関税法までの休み時間を通関業法の答え合わせに使ってしまいました。次の科目に響くため、油断せずに勉強した方がよい科目です。
【関税法】
合否を分ける科目だと思います。
配点は以下の通りです。
・語群問題 21/25
・選択問題 6/20
・択一問題 11/15
やはり過去問ベースの勉強法だったため、選択問題はみこ会皆答集で正答率が6割を超えている問題しか取れませんでした。
1問目の還付加算金の語群問題は、見た瞬間に「分からん!」となり後回しにして一番最後に解きました。分からないなりに、書くとしたらこれかなと思って勘で書いたものが結果的に3点当たっていました。
・分からない問題はすぐに飛ばして最後に解く
・正答率が高い基礎問題を確実に取る意識
・日頃の勉強によって勘が当たる可能性を高める
この3点が大切だと感じました。
【通関実務】
申告書との相性が大きい科目だと思います。今回は比較的オーソドックスな出題だったので助かりました。貨物分類をやっておくと不安がかなり減ります。
貨物分類は暗記までしなくとも、LECの貨物分類講座の講座部分の確認問題と演習問題をできるようにすれば十分だと思います。
■ 試験を受けて感じたこと
本番では100%の実力は出せないと実感しました。できれば普段から「試験時間−10分」で解き切る練習をしておくと、見直しの時間が確保できて安心だと思います。
1点2点で合否が分かれる試験なので、マークミスの確認は本当に大切です。特に通関実務では、数字だけでなく記入欄が合っているかまで丁寧に確認することが重要だと感じました。
実際、私は輸入申告の課税価格の記入欄を間違えた気がしてならず、試験後1カ月間ずっと悶々と過ごすことになりました。
■ みこ会について
みこ会は、通関実務(申告書・課税価格)の説明や過去問解説がとても分かりやすく、質問できる点も心強かったです。市販教材とみこ会で十分合格点に到達できると感じました。また、分からない所や進捗相談など、何かあった時に頼れる存在があることは、効率面でもメンタル面でも大きな支えになりました。
■ おわりに
私の勉強法は、理解を深めるというより「合格点に届かせる」ことに重きを置いたやり方でした。関税法はギリギリ合格でしたし、合格後に壁が出てくる勉強法でもあるとは思いますが、それでも「理解できなくても、合格はできる」という一例として、まずは「合格」という一歩を踏み出すきっかけとして、誰かの不安を少しでも軽くできたら嬉しいです。
長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
今後挑戦される皆様が合格を勝ち取れるよう、祈っております。
そして最後に、みこ先生は不安症な私の質問をいつも的確に返していただき、安心させてくれました。ご指導いただき本当にありがとうございました。
