Honjo さん(2025年度合格 30代・メーカー・物流部門勤務 受験回数1回)

◆ 受験のきっかけ・勉強時間・学習スタイル・点数
【背景】
▪ メーカーの物流部門勤務。異動で今の部署になって3年ほど経過し、何か仕事に関係ある勉強や資格取得をしてみたいと思って通関士試験を選びました。通関業者ではないので業務上の資格には直結しないし通関士手当といったものもありませんが、部内・社内でのアピールポイントが何かあった方がいいだろうという動機と、純粋に知識を深めたいということで勉強を開始しました。前提知識で言うと、法律の勉強は全くしたことがない/業務上インコタームズの用語を全く知らないわけではない/関税法関係の知識はゼロ、くらいの状態でスタート。2025年4月6日にテキスト読みから始めて、みこ会には4月中旬頃に入会しました。
【勉強時間】
▪ 試験当日時点で714時間:通関業法70時間・関税法等367時間・通関実有無277時間(勉強や仕事時間を記録するアプリの「集中」(bondavi株式会社)で記録していました。勉強時間の記録をつけるつけないは人によると思いますが、つけたい人にはすごくオススメ)。
▪ 合格者の目安として500時間程度~という情報を目にして、「4月初旬から始めて1日4時間やると試験日までに大体720時間、目安らしい500時間超に対して多めに見て、それなら受かるんじゃないか」と当たりをつけてそれを目標に勉強しました。日単位で見ると全然出来なかった日があったり、月平均で振り返っても1日4時間を切ってしまった月の方が多かったですが、全期間で平均するとギリギリそれくらい-αくらいになりました。
【勉強スタイル】
▪ 平日1日4時間を確保するために、朝通勤時間に電車で40分、昼休みに30分、退勤時間で40分、帰宅後2時間少し、を目安にしていました。最初は手探りでしたが、「帰宅までに2時間行けていると帰宅後が少し楽、1時間半くらいしか行けていないと帰宅後が辛い。だから帰宅までに2時間はやろう、そうすると昼休みでもう少し勉強時間稼いで…」といった計算とリズムが自分の中で確立されていきました。休日も変わらず1日4時間。でも実際は平日で足りなかった分を埋めたりするためにもう少しやっていました。
【本番得点】
▪ 通関業法43/45(95.6%)、関税法等43/60(71.7%)、通関実務33/45(73.3%)
◆ やってよかったこと
▪ 基本的に市販の教材はどれもやってよかったと思います。学習の段階ごとに「これが効いたな~」というものはありますが、それが無いと絶対合格できなかったか?と言われるとどれもそうではない気がするし、逆にこれやったせいでマイナスだったというものもありません。
▪ ただ自分が受験生の立場で合格体験記を読んでいた時は、「いいから受かる教材とやり方教えてくれや!」という気持ちで一杯だったので、その中でもやって特によかったんじゃないかなあというものを後述します。
◆ すごくやってよかったこと
▪ 分厚い問題集や教科書をバラして分冊にすることと、章・分野別にふせんで見出しを作ることの2点は本当にやってよかったので、それは手放しでお勧めします。ふせんの貼り方はみこ会の記事を参考にしました(大正解でした)。バラし方はネットで見つけたこの記事を参考にしました。
【超簡単】分厚い参考書を分解する方法【後悔なし!受験に!資格試験に!】
https://mori-blog.org/book-bunkai
▪ あとはもう好みと使い方(家以外でも勉強するかどうかとか)によりますが分厚い本を分割した後の話として。元々の表紙と背表紙が残っている部分はいいんですが、それ以外の部分は薄い紙(普通のページ)なので、持ち運んでいるとそこから破れたりしてボロボロになっていきます。自分は対策として要らなくなった別の本の表紙だけ切ってくっつけて表紙化してました。
◆ やって特によかった教材
【関税法等・通関業法】
○ みこ会の過去問アプリ 使用時期…入会時期=4月上旬~8月くらいまで。
▪ のっけからみこ会のものですが、実際これで関税法等で必要な知識の6~7割くらいは身に着けたんじゃないかと思います。「なかったら受からなかったようなものは無い」と書いておきながらすぐに矛盾するようなことを言いますが、もしなかったらどうするか?と考えると代替の効きにくさと効果の高さで自分にとってはこれが突出して一番でした。強いて言えば『通関士試験問題・解説集』(ひしもち)と同じような効果ですが、「スマホで出来る(オフラインでも使用可)」、「問題↔回答の表示の切り替えのスピーディさ」という利点でこちらの方が上回っていました。紙には紙のよさがあったので、両方あってよかったと思います。どっちか一つしかできないなら自分ならみこ会アプリにするかなあと。でも両方出来るならそれに越したことはないと思います。
▪ 助かったところを更に挙げると、「通関実務の知識問題」(品目分類のことだけではなく、EPAとか通関手続きとかに特化した知識問題が毎年何問かある)について、関税法等や通関業法の問題と同じ形式で、かつアプリ内では「通関実務」として分けて収録されていた点です。通関実務の対策は何よりも申告と計算ですが、この知識問題(特にEPA)で数点確保出来るかでも結構変わってくるのでその練習を特化して出来るのは非常にありがたかったです。通関実務のこの知識問題部分は関税法等の方で出題されてもおかしくないので、そういう意味でも対策になってお得でした。
▪ みこ会はアプリの更新作業も常にされていて、私の時(2025年受験)は新しい版のプロトタイプと従来版の2種類のアプリがありました。私は両方触って従来版の方が合っていたのでずっとそっちをしていました。今は新しい方のアップデートがどんどん進んでいると思います。
○ 『通関士試験問題・解説集』(日本関税協会)使用時期…4月~7月くらいまで。直前期に間違えたところだけもう1周。
▪ いわゆるひしもち。表紙のデザインが好きです。問題の分量も大量かつ大事な論点の問題は繰り返し出してくれて、年度付きで繰り返し出てくることで本試験での頻出度合いも把握できるし解説も分かりやすいです。最初は「同じ論点のほぼ同じ文言の問題、連続して何回も出して意味あるのか?」「問題が沢山掲載されてるって言うけどこれじゃ水増しじゃない?」と思うこともありましたが、やるうちにこれが非常に良い構成だと実感して、定評ある教材には素直に従った方がいいと反省。自分の中でみこ会アプリと双璧ですが、メモを書き込んだりふせん貼ったりとアナログなりの良さがありました。
▪ 解答と問題で分冊。最初はこの形式が好きだと思っていましたが、繰り返しやるにつれて2冊の往復が面倒に感じるようになりました。また、これは年度ごとの運ですが、2025年版は通関業法の回答に出版時の間違いがあって、別冊で修正がありました(本体と同サイズの薄い冊子みたいなのが差し替え版として挟まってる)。訂正自体はいいのですが、自分は科目ごとに分解(カッターでバラして製本テープで加工)していたので、その要領で別冊回答も切って貼ってがいけるだろうと挑んだら失敗しました。自分がテープ貼るのが下手だったので見開きに変なクセがついてしまい、机に広げて置いておくと常に勝手に同じページが開いてしまう呪いの装備になりました。分冊で往復が面倒という件もそうですが、半年間の勉強なので1回1回のストレスはちょっとしたことでも年月単位で付きあうのはなかなかしんどかったです。解答の切り貼り失敗は完全に自分の失敗ですが、元々の仕様として「分冊だと問題解いた後どこに回答あるか見に行くの面倒」というのは宿命的にありました。
▪ 一方で、教材選びでは「最初違和感あっても年月単位で付きあってると慣れてきて全然問題なくなる(単に自分の慣れの問題だった)」ということも往々にしてあるので、この教材に限らず少しやってみて合わなくてもそこから腰据えて取り組むというのも大事だと思います。ただ、この教材に限っては見開きが変になっちゃったのと別冊で回答がどのページ載っているか見つけに行く手間は最後まで慣れず。内容はとにかくいいものでした。
○ 『どこでもできる通関士 選択式徹底対策』(日本能率協会マネジメントセンター)使用時期…4月~直前期まで。
▪ 新書サイズの穴埋め対策問題集。初期から直前までお世話になりました。
▪ 通関士に限らず資格の問題集は色々ありますが、解答解説の表示のスタイルとしては主に次のように分かれていると思います。①分冊(例:ひしもち) ②見開きで左右に問題と答えが書いてある ③1冊の中で章ごと単位で分かれている(ゼロ申とか)④問題の掲載されてるページをめくると裏に答えが書いてある(青ヒューとか) 。それで言うとこれは④。自分にはこれが合っていたようで、新書サイズなことも相まって電車の中で何度も見返してインプットに役立ちました。
▪ 勉強は理解か暗記かみたいな話ってナンセンスだと思うのですが(対立軸ではなく、同じことを指している場合もあると思うので)、この教材は初期の段階で暗記をゴリゴリやったことでその後の道が開けた感じがします。何でもいいんですが、例えば「関税その他の公課」みたいな、試験問題や専門用語としては頻出だけど日常生活だと絶対言わないようなフレーズを反射というか口馴染みのような感じでフッと出てくるように身体を慣らす練習が、いざ試験会場に行った時には大事だったな、と試験を終えた今になって思います。スポーツでいう素振りとか、あと多分ですがジャグリングとかペン回しみたいなもので、延々やって手癖のレベルで出来るようになるというイメージです。そのための反復練習としてこの教材を繰り返し読んだのは良かったです。肢別式とかは手癖で解けるようになっただけだと本番では撃沈することもあると思いますが、穴埋めは主に条文からの抜粋や改編だったりするので出され方はそう大きく変わらないため、反射で行けるようにするのが大事だと思います。
▪ また、テキスト読みでも文章を読んでいて知らない単語でつっかかると理解のハードルが一気に高くなるので、厳密な定義や理屈まではまだ言えなかったとしても、こうした教材を使った暗記で「この単語は知ってる/前後の文脈は見覚え・口馴染みがある」というストックを自分の中で増やしていくことは、理解を目的にした学習を進める際にも有用だと思います。
▪ その上で2025年の関税法等第1問の「還付加算金」みたいなのに本番で出くわした時に身体が固まってしまわないことも重要ですが、延々反復練習をやってると逆説的に「これは自分のド忘れとかうろ覚えとかじゃなく、明らかに最初から知らないことだ(だから分からなくても仕方ない。他で取れるようになってるはず)」っていう確信を持てるので試験中に過剰に不安にならないという効果もあると思います。
▪ むやみに褒めそやしてるみたいになったらあれなので一応書くと、これで穴埋めを覚えたとしても論点ごとの問題演習は必須なので、あくまで目的に沿った教材選びが大事ということで。
○ 『通関士教科書 通関士 過去問題集』(ヒューマンアカデミー)使用時期…5月末~7月頃まで。直前期に間違えたところをもう何周か。
▪ ヒュー青。4月から勉強を始めて、5月末に購入。本当にやってよかったです。ここまでに挙げたヒュー青以外の教材で2か月勉強して、正答率的には7-8割で安定していたので「合格点が6割だから、じゃあ受かるか」と単純に考えていたのですが、書店でふとこれを立ち読みして全然解けずに愕然としました。解けないと言ってもみこ会アプリと『どこでもできる』である程度知っている事柄なので、書いてあることが理解できないわけではないんです。何なら過去問でやったそのまんまのもある。でも回答選んでページめくると外れてるのが連発で、本屋で焦りました。
▪ この現象は要は資格試験勉強あるある?の「今までやってた教材だと答え覚えちゃってた」「だから初見の問題に対応できなかった」ということだと思うのですが、当時の自分にはショックで買って勉強開始しました。このことと後述する模試の経験が勉強スタイルを修正する本当にいいきっかけになりました。終盤は過去問をひたすら周回するスタイルに落ち着きましたが、途中でこれで意識を修正できたのは良かったと思います。
▪ この問題集に載っていたコンテナー特例法の問題は1問本試と内容的に一致してるところあって、最後まで何故か正解できなくて諦めていたところだったので本番でも落として悔しかったです。
○ 通関士試験合格ハンドブック(日本能率協会マネジメントセンター)使用時期…4月~直前期
▪ 教科書はこれをメインに、みこ会テキストをサブで読んでいました。例によってカッターで切って分冊。知識は主に過去問周回(みこ会アプリ)で入れた感じですが、前述の青ヒューの経験と後述の模試の後にはテキスト読みの比率も増やしました。欄外に書き込みして知識は出来るだけここに集約。
▪ 近年関税法等の科目が難化と言われていますが大体このハンドブックに限らず市販のテキストを覚えていれば何とかはなると思います。ただ、例えば2025年で言うと関税法等 第1問の還付加算金の穴埋めはテキスト覚えてれば全部解けたかと言うと厳しかったと思います。(過去問とテキスト読みしてれば「年7.3%」とかは多分いけたので0点ではないとは思いますが、「計算の基準となる日」はテキスト読んでたら出来たのかというと分からない。少なくとも『ハンドブック』には載ってなかった)
▪ じゃあ無理じゃん、となるかと言うとそんなことはない(他の問題で取れば受かるようにはなっている)ので、イレギュラーに焦らずテキスト読みを続けることが大事だと思います。
【通関実務】
○ 『通関士試験補習シリーズ計算問題ドリル』(日本関税協会)使用時期…5月~8月頃。直前期にもう1周。
▪ 計算問題が苦手という意識があったので周回して手で覚えるようになるまで解きました。実務は申告書と計算問題が全部出来たらそれだけで受かりますが、その中でも計算問題は「8点以上は必ず取れる」的な自信が付くと精神的にも安定します。これ一冊全部解けるようになったら本番の凡ミス含めても8点は取れると思います(自分は凡ミスで8点)。
▪ レベル5はやたらムズいですが、4まで分かったなら5も理解不能ではないと思うので、余裕あれば解き方覚えた方がいいと思います。
○ 『通関士試験ゼロからの申告書』(日本関税協会)使用時期…6月頃~9月頃。直前期にもう1周。
▪ ドリルと同じくらいお世話になりました。他の方の体験記みてると何周もしましたという人も、買ったけど全然やりませんでしたという人も両方いて分かれている印象です。
▪ やらなかった人の理由として「品目の数が本番と違う(ゼロ申の方が多い)」というのを結構見て、それは実際その通りです。最近5年くらいの過去問は輸入も輸出も大体6項で、うち2項を少額合算したりHSコード同じだったりで足す(その判断が正しくできるか問われる)という感じだと思います。そこへ行くと7項とか9項とかあるゼロ申は確かに多いのですが、分類の練習を積めるという意味では1回の問題演習で多くてもマイナス要素ではないと思っていました。
▪ 加えてゼロ申の意義は色んな種類の貨物(繊維とか食品とかプラスチック製品とか)を練習できることだと思っていて、バリエーション+解説付きで解くには現状ゼロ申買って通しで解くのが一番効率的なんじゃないかなあと思います。みこ会ではゼロ申のみこ会オリジナル解説が各年度版・問題ごとに詳しく載っていて、自分はこれに非常に助けられました。2025年の本試の飲み物の問題(ノンアルコールの定義が重要)は確かゼロ申でもあったはずで、慣れていて良かったと思います。(過去問でもあったはず)
▪ ゼロ申の問題はいずれも元になっているのは過去問なので、過去問演習でも同じ効果は得られると思います。「じゃあ過去問やればいいじゃん」という話なんですが、いざそうしようとすると発生する「問題と答えをネットから落としてきて、そこまではいいとして分からない部分については解説も探して…」という手間を一気に省けるのがゼロ申のメリットかなと思います(解説は若干不親切なところもあるかも)。
▪ 自分はゼロ申してよかったと思いますが、まずは過去問した方がいいとも思うので、「信頼できる解説見つけて過去問する+ゼロ申もする」、というのがいいかと。そのためにはみこ会がベストだと思います(みこ会はどっちの解説も非常に充実)。
○ 『通関士教科書 通関士試験「通関実務」集中対策問題集 第3版』(ヒューマンアカデミー)使用時期…7月頃~8月頃。直前期にもう1周
▪ ドリルとゼロ申と同じくらいではないにせよ非常にお世話になりました。ゼロ申と比べても問題が難しすぎる&流石に何問かは項が多すぎると思いますが、やはり練習としては悪いことではないと思います。と言いつつ後半の計算問題はドリルのレベル5より難しいので半分流していました。
▪ 内容は難しいですが、第59回の輸入申告はbasket workとwicker workが出てくる問題で、まさにその問題をこれでやってたので当たりでした。
▪ 冒頭の「学習の手引き」「試験対策論」的な文章は意識高すぎるというか着手するハードルを上げすぎるというか、「他を完璧にしてからこの問題集で勉強するべき」的なことが書いてあって、それは理想だけどそれ言ってたら取り掛かれないよ、という内容だったので話半分で流して、普通の問題集としてありがたく使っていました。
○ ゆっくりしゅぜーの解説部屋(YouTubeの動画)
▪ 「ゆっくりしゅぜーの解説部屋」さんというYouTubeチャンネル。HSコードを1類から解説(どういったものが何類で、〇〇は一見〇類だけど別、といった感じのものを列挙)されていて、このシリーズを試験前に2回くらい通しで見ました。
▪ HSコードの暗記(”第1類 動物(生きているものに限る)”とかそういうことじゃなくて、本試験で問われる、仲間外れはどれかとかストレートに個別の品目についてこれは第何類でしょう、と問う問題に答えられるレベルの暗記)はハナから無理だろうと思っていたので、申告書問題で出たものを中心に覚えられる範囲で覚えるという感じにしていました。それでも何も対策しないのは不安ということでこのチャンネルを流し見て覚えられるところだけ覚えて行ったら、2025年の試験では動画でまさに紹介されていた「スイートコーンは10類の穀物ではない」というところが出て、それだけで5択から2択まで絞ることが出来ました。それに加えて確か動画でも出ていたカカオのところで絞って当てることが出来ました。1点ですが通関実務だと貴重な1点で、ありがたかったです。
▪ こうやって的中するということはHSコード問題も頻出の論点はある程度限られているということだと思うので、例えば『集中対策問題集』や『通関士試験問題・解説集』(ひしもち)に載っているHSコード分類の過去に出た問題一覧とかを暗記することで対策は出来るんだと思います。それでもやっぱり多いのと棒暗記勝負すぎるので、こうやって動画で紹介されているものは助かりました。
○ 実務電卓 ナイスサイズタイプ EL-N942C-X(SHARP)
▪ 教材ではないですが、元々電卓を使う習慣がなかったので試験用に一から購入しました。12桁以上、日数計算機能あり、滑り止めがしっかりしているという基準で選んで相性いいのを引けたと思います(最初に別のメーカーのもっと安価なものを買いましたが、打ち込むと机の上で本体が滑ること、キーを押した感じがチープなことが気になって買い直しました)。通関士試験に関する出費の中でおそらくみこ会の入会費を除いて一番高くつきましたが、業務でも使っているのでよかったかなと(ちょっと自分に言い聞かせ)。
▪ 最初は鉛筆やペンを一旦親指と人差し指の付け根で挟んで持って同じ手で電卓を打つスタイルにしていましたが、スピードが大事な通関実務では左手で電卓を打って右手で筆記するスタイルの方がいいのではと思って練習。結果的に1週間くらいで慣れて本番も左手で打ちましたが、スピード的には右手のみでやるのとそう変わらなかったと思います。左手で電卓を打てるようになったことは業務でもちょっとだけ活きていますが、合否には多分プラスにもマイナスにも影響していません。
【3科目共通】
○ 模試
▪ 8月の関税協会のものだけ受けました。会場受験。前述のヒュー青の話と同じく、結局本番で解けるか?が大事なので、過去問の答えを覚える練習になりがちな意識を修正するのに役立ちました。それでも昔の過去問の丸写し的なのが結構出題されていた印象で、そういうのは解けてるけど点数的にはあんまり一喜一憂しないようにしないとなーと思っていました。そうは言っても全科目7-8割取れて嬉しかったので、勉強法そこまでは間違ってなかったなーという自信を持つためにも結構役立ちました。
▪ あと実践的なことで言うと、通関士試験のマークの形式が初めてでしたが、ゼロ回答があるということによるマークミス(⓪にマークした後、次の問題で①を回答したい時に誤ってつい「一番上の欄」という意識で⓪を塗ってしまった。文章で書くと分かりにくいですが)があって、見直し時に気付くことが出来ました。模試がなかったら本番でやっていた可能性あるので、そういう意味でもよかったです。
○ 過去問 使用時期…5月頃~直前期。特に直前1ヶ月くらいは過去問を各科目×1年分ずつ毎日のルーティンに。
▪ 当たり前なんですが過去問はやってよかったです。通関業法は8年分を5-6回ずつ、関税法等は8年分を9-10回ずつ、通関実務は14年分を5-6回ずつくらい解きました。正直終盤は問題も答えも良くない覚え方(根拠を深く考えず答えを思い出してしまう)をしかけることがあったのですが、ヒュー青と模試の反省を思い出して極力根拠を確かめつつ解きました。
▪ 8月くらいからは解く度に間違いノート(Excel)をつけていました。間違いごとに「科目名」、「間違いの種類(”知識”:そもそも知らなかった・忘れていた ”ミス”:読み間違い、誤を選ぶはずなのに正を選んでいたとか)、「間違いの具体的な内容・理由」をつけていって、蓄積して2週間に1回くらい見直しました。えらいもので全く同じ問題を2週間ぶりくらいに解いて全く同じ間違いをしていることとかに何度か気付いて、記録をつけてよかったと思いました(し、反省してそこを集中して意識しました)。1日当たり5~10個くらいずつ間違いの記録をつけていって、最後は200行くらいの間違いリストになりました。科目別にフィルターして紙に印刷して試験当日持参して、「このたぐいの間違いだけはしないようにしよう」と試験開始直前まで見ていました。
○ 税関のサイトとか説明資料とかJETROのサイトとか
https://www.kanzei.or.jp/wp-content/uploads/2025/06/202505_Item_class.pdf
▪ こういうやつです。
▪ 税関が国民からの「よくある質問」的に手続きについて解説していたり、税関が外部の人への説明用に教材として過去に作ったpdfとかパワーポイントの資料がネットで公開されています。
▪ 試験対策として作られたものではないのでこれだけで合格は厳しいでしょうが、テキストや問題集の補足的に知識を強化する可能性はあると思って見ていました。例は品目分類に関するものですが、それ以外にもあるのでネットで検索すると色々出てきます。でもわざわざそういうことしなくていいように各種市販教材があるという考え方もある。あくまで副教材的に。
○ e-gov 法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000061
▪ 条文が読めるサイト。これも上記の税関のサイトとかと同じで、こういうのを見なくても受かるように作られてるのがテキストであり各種講座なんだと思いますが、自分はスキマ時間とかに見てよかったなあと思っています。やっぱりテキストは抜粋であり分かりやすく書き直してあるものなので、原文読むと「あー確かにそう書いてあるわ」って確信持てるのがありがたかったです。かと言って、これがご本尊なんだからとこればっかり見るとかこれしか見ないとかは試験対策上無理だと思います。バランス。
◆ やらなくてもよかったこと
○ 関税協会の関税評価のドリル
▪ これまで同協会から出ている他の教材を褒めたのでいいだろうと思いますが、本当に合否に一切関係なかったと思います。1回頭から最後まで正誤の印をつけながら解いて、不正解だったところを見直しました。その上で思いますがこの教材の問題は本番の試験問題とも傾向が違うし、これ正答できてもな~と思っていました。
▪ じゃあ悪い本かと言うと自分は全然そうも思ってなくて、他の教材ではなかった知識や視点が結構身についたと思います。あくまで効率的な合格を目的にした上で初っ端やる教材選びに悩んでます、という人には薦めないと思いますが、色々やった結果何か新しいものやりたいという人にはいいと思います。
○ 税関のホームページの質疑応答集(関税評価)を読む
▪ 税関のサイトに行くと、過去に問い合わせがあった関税評価の事例が見れます。
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/hyokajirei/jireishu.htm
▪ ↓こんな感じで冒頭に独特な図と文章で取引の概要が説明されていて、その後「で、この費用って現実支払価格に含まれますか?」みたいな輸出入者からのお伺いに税関の人が答えた事例集です。
https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/hyokajirei/hyokajirei4110048.pdf
▪ 自分はそっちは本屋で軽く見たくらいですが、『関税評価303』(日本関税協会)とかもこういった事例集のはずで、それと似た趣旨のものをネットで見れます(というかその元ネタか)。
▪ 輸入者からしたら関税安くしたいので「この項目は現実支払価格に含まれませんよね?」という風に話を持って行きたいし、そういう方向っぽい情報を出すのですが、税関からしたら「課税対象。あと挙げてた説明は判断に関係なし」的にバッサリ行くのが気の毒ながら面白かったり、逆に非課税と認められたらよかったねという感じだったりと、各事例の後半の税関の判定部分をオチ的に捉えて読んでいました。もちろんその判断の根拠を税関がくどくど説明しているので、そこが試験的には重要です。
▪ ただまあこれも合否には関係なかっただろうなと思っていて、「このケースだとどうなるんだこれ?」という好奇心で読み物感覚で読んでいました。(なので勉強時間には含めず)
◆ 受験を終えて・みこ会に入って
▪ 受験の最中、みこ会の皆さんが書いた合格体験記を拝見して、励まされたり参考にしたりしていました。その際目にした中で、下記の文章が特に印象的でした。
“とにかくまずは500時間勉強をすること。これに尽きると思います。
私の場合は500時間を超えたあたりから、勉強が楽に、そして楽しくなりました。”
(Chichiki さん 2021年度合格「500時間のその先へ」)
▪ 私は確か2か月(200時間)くらいやった頃にこの記事を目にして、「その『まずは』が大変なんだが」と思いながらも、当時「仮に今すぐ試験だったら合格点取るのは無理だけど、この2ヶ月やったことをあともう1回くらい繰り返したら多分行けるんじゃないか」という感触があり、その感覚とChichiki さんの体験記の記述が方向性としては合っていたため、とても励みになりました。(結果的に、自分は400時間では足りなかっただろうなと思うので、そういう意味でもChichiki さんの言葉通り)
▪ その頃の自分のペースを守っていくと8月の関税協会の模試の時期に勉強時間が約500時間になる計算だったので、Chichiki さんを始め他の方の記事も参考にして「模試の頃には受かる実力になっておいて、そこからは予備の時間みたいにしよう」という目論見がありました。
▪ 実際に模試の頃には500時間に到達して、そこからは劇的に知識が伸びたイメージはありませんでした。ただ前述の通り、模試を経て自分の勉強法を見直したりして追い込みをかけたのが功を奏したのは事実でした。500時間以降の積み増しが合否へどれだけ直接影響したかは数値で表すことはできませんが、みこ会には模試後や本番直前期にも何度か質問させていただき、いつも即レスをいただいたことが自分の助けになったことは間違いないと思っています。
▪ そういった質問サービスや、教材一覧で挙げたようなみこ会アプリ、過去問・市販教材の解説等が学習期間を通じて常にありがたかったのはもちろんですが、それらに加えて私が参考にさせていただいたような合格体験記の数々を公開する場を設けたり、私は参加できていませんがSNS上での受験生同士の緩やかな励まし合いの繋がりを作ったりと、みこ会が通関士試験の受験生に与えているプラスの影響は非常に大きいと思います。
▪ こうしたことも含め、私個人の資格試験勉強を助けて頂いたことに感謝するのはもちろん、会を立ち上げて運営されているということにつきまして、改めてみこ会(みこ先生)に尊敬と御礼の念をお伝えしたい気持ちです。
▪ この文章がみこ会の入会を検討している人、通関士試験の勉強で迷っている人の後押しになって、結果みこ会によって合格に近づく人が少しでも増えたなら、みこ会にお世話になった者の一人としてとても嬉しく思います。
